目の前にいる彼は、身長がすらっと高く足も長い。目も大きくキリッとしていて、髪は黒く前髪は目に少しかかるくらいでそのまま左側に流し、トップも少し軽めに立てている。


誰が見てもかっこいいと言うだろう。

こんな人、見たことないよ…。



どこかのファッションモデルをしててもおかしくない彼を、時が止まったようにぽかーんと見つめていると、後ろから現実に強制的に戻される声が聞こえてきた。



「芹沢ー!!待たんかーい!!」




うわっ!!忘れてた;;


どうしよう;;
このままだと、絶対捕まってしまう!!

とオロオロと焦っていると、



「こっち」


「えっ?」


イケメン君にいきなりぐいっと引っ張られ、体制が傾いた。


「うわっ!!」


そして、彼は「行くよ」と一言言うと、途端ものすごいスピードで走り出し、先生の横を通り過ぎた。


さすがの先生もまさかの展開についていけず、私たちを呆然と見つめてしまっていた。


えぇ!?
待って、どこ行くの!?


てか、君は誰!?
え、知り合い!?
私この人知らないよ!?




そんな誰もが持つような疑問を頭に浮かべながら目の前の知らないイケ麺くんに連れられている私。



今起こっている状況に頭がついていけず、
私は彼に身を任せて、ただ今は走り抜くしか方法はなかった。