突然、木々がざわめいた。
先程まで僕を包んでいた静寂は、一気に消え失せてしまった。

そこら中の植物たちが、まるで生き物のように動き出して僕たちから離れた。

遠慮がちな様子で、こちらを遠巻きに見ているようだった。


僕らの前には、開けた土地が広がっていた。

そこには湖があった。

月も星もみんな水面に落ちていて、夜なのに昼間のように明るい。


何より綺麗だった。