「ありがとね。またメールする。」 「おう。」 玄関で別れを交わし、家に入った。 うちは独り暮らし。 うちのお父さんは、まぁまぁお金持ちでうちになんでも買ってくれた。 ただ、言葉を交わしたことは滅多にない。 前から家にあまり帰って来なかったお父さんは、毎月うちにおこずかいをくれていた。 一方、うちのお母さんはうちを生んですぐに死んだ。 うちがまだお母さんのお腹にいるころ、赤ちゃんを生むか自分が死ぬか問われたらしい。 お母さんは迷わず、 「赤ちゃんを生みます。」 と、言ってくれたらしい。