「俺は……俺は以前何に対しても、やる気というものが出ませんでした。」
ゆっくり語り始める。
スタジオは、静まり返っていた。
「学校でもちょっとぐれてて、先生とかめっちゃ困ってましたね。あはは、いわゆる問題児ですね。けど、知っちゃったんです。」
「何をですか?」
ニコッと笑って俺は答える。
「キラキラ輝く芸能界。もちろん、苦しいことだってあると思うし憧れだけじゃやっていけない世界ってことわかってる。けど、以前の俺には夢中になれるものもなかったし、1つのことに全力を注いでみるのも悪くないなあ……。って思って。かけてみようと思ったんです。自分に……」
そう言い終えて、遠くを見つめてみた。
スタジオにはお客さんがたくさんいる。
この人たちを……
「幸せにしたいんです。俺が出来ることで落ち込んでいる人とか、悲しいとき見てくれた人が幸せになれるように。笑顔でいてくれるように、頑張りたいと思います。」
そう言うと、自然な笑顔がでた。
そして、改めて実感した。
ああ、そっか。
うちは、みんなを幸せにしたいんだ。
だから、ここにいるんだ。


