「あ、あのね……」
今日は、言いたいことだけ言って早く帰りたい。
なのに、声がでないんだ……。
言わなきゃ。
言わなきゃ。
言わなきゃ!
「裕也、あの!うちと別れてほしい!」
い、言えた……。
けれど、同時に悲しみも沸き上がってくる。
「……っ」
涙がポロポロ地面に落ちていく。
「ちょ!どうしたんだ?別れるとか……まぢかよ……」
裕也はうちの頭に手を置いて、苦しそうに言った。
うちだってやだよ。
わかれるのなんか……
けどね。
見つけちゃったんだ。
夢ってやつを。
目標ってやつを。
憧れってやつを。
だから今、やってみたい。
今逃したくない。
顔をあげて、裕也に真っ直ぐ顔を向ける。
「裕也あのね……うち、夢ができたの。でも今じゃなきゃ、実現出来ないと思うの。裕也と別れるのはやだけど、夢を諦めるのも嫌だ。だから、待ってて………なんて、都合良すぎるかな?」
夢なんか、いつ叶うかわからない。
叶うかなんてわからない。
けど、試してみたい!
可能性ってやつを。
「はぁっ……。降参ですよ。いいよ、別れる。けど、嫌でも待ってるから。早く戻ってこいよ?」
そう言って、誓いのキスをした。
「うん、絶対夢叶えて戻ってくるからね。」


