【完】霞む夏空と光

「…啓助の」


「ん?」



「啓助のバカぁぁぁぁぁっ!!!」



 大きく息を吸ってから、思い切り叫んだ。


 それに対して啓助は、勿論驚いた顔。完全に、あっけにとられている。



「何これ!こんなやり方!啓助らしくないから!!」



 段々と弱ってくる声は、涙を知らせる。



「吃驚したじゃん…!」



 回りくどくてキザったらしい。啓助らしくない。



「…でも」



 「それだけ好きなんだよ」――強い声で、そう言った。



 記憶の片隅に押し込められた気持ちを、縛っていた紐を、そっと解いた。


 あたしも…きっとあの瞬間から。


 啓助に、恋してました―――。