【完】霞む夏空と光

「……何、これ」



「俺、ずっと相のこと好きだったから!」



 ――――打ち上げ花火の音に紛れて、波のある声が聞こえる。


 俄かに信じがたくて、私は瞬きを繰り返す。



「小さい頃…花火が上がった時泣いてた。それ見たときから…ずっと」



 ……それは何か、人の泣き姿を見て惚れたということか。焦点がおかしいことこの上ない。


 だけど、それで思い出した。その日のことを。


 花火の意味――



「花火は、“何か”を繋ぐ為にあんだから」



 光を、



「だから、俺…今日をずっと待ってた」



 星を繋ぐ為に―――――