【完】霞む夏空と光

 何に対する「勿体ない」なんだ。花火は無駄にならない、じゃぁあれか、並べた行為か。



 ……揺らぎながら流れる煙に、天の川が霞んで薄くなる。


 これだから煙は嫌いなんだ。


 大三角も、くすんだ光でしか確認できない。悲しくなって、溜息とともに私は俯く。


 ふと、石畳の方から声が掛かって。



「相!」



 ぱっと啓助の方へ目をやる。手元にはぎらぎらめらめら燃える、花火。


 だけどいつもの両手でファイヤー、ではなく。



「―――――!?」



 天の川に重なる光。


 ベガとアルタイルを繋ぐ、光……。


 私は息を呑む。


 啓助は一体、何を意図して。光が消えるまで、私は黙って彼を見ていた。


 ねぇ啓助、これは…何?