2人は制服を着た。

パッと見、何の変わりも無い。

よく見ると、足元に問題があったのだ。

男の制服を着た優希の姿の美希は、ズボンというのに内股。

女の制服を着た美希の姿の優希は、スカートで足が開いている。

さらに仕草が全く違う。

朝食の時間だったためその変化は明らかであった。

優希(外見)は髪を神経質に、必要以上に扱う。

指先でカールさせたり、分け目を何度も気にしてみたり。

美希(外見)は足を開いたまま座り、あくびをためらいなく大口を開けてしている。

優希は美希に、

「家ではいいけど・・・
 学校でそんな風に過ごさないでよッ」

美希は優希に、

「家では構わんけど・・・
 学校ではそんな風に髪いじんなよッ」

お互い指摘し合うのだが実際はお互い修正する気ゼロ。

聞き流すだけ。

そして朝食を終えた2人は立ち上がり、バッグを持って靴を履きだした。

そして玄関から出てマンションのエレベータを降り、優希が

「いつも通り離れて歩くのよ・・・
 何もない様に。
 そして友達に会ったらヘンにテンション上げないで流されるままに話すの」

美希が、

「離れて歩くからオレの頼みも聞けよ。
 ダチに会っても絶対変に不自然の繕うなよ。」

そして優希が先に歩き出した。

美希が10メートルくらい後ろからういて来る。

これに限っては同じ高校なのだから仕方ないのだ。

ここから2人の困難な日々がスタートした。