「センセイ、この前のこと……。あれからどうしたんですか」
「この前?……あぁ、別にどうもしないよ。そんな事実はありませんよって言ったら、湯本先生も「そうですよねー」って納得してたし。
でも、信用されてて嬉しくも思うけど、そんなことするような奴に見えないってのは、男としてはどうなのかなって感じでもあるよなぁ、ハハハ」
「……」
私が硬い表情のまま質問したって、センセイはそう言って、また自分をちゃかすように苦笑いするんだ。
もう、どうしていいかわからなくて。
これ以上この気持ちを、どこに持っていけばいいかわからなくて。
私は黙ったままに、白衣のボタンをひとつずつ外していった。
だってこうすれば、もっともっとこの問題が大きくなって
センセイは私を、忘れられなくなるはずだから。

