何事もない振りで生徒指導室を通り過ぎる。
ここにいないってことは、職員室か物理室だろうか。
どこにいるかわからないセンセイを、私は抑える気持ちで呼吸を整えながら探して歩いた。
会ったらどうするかなんて、そんなことは全然考えてない。
ただセンセイの様子が知りたいから。
センセイの姿を見て、身体に伝わるいつもの鼓動を、また感じたいから。
センセイ…!
そのとき急に、廊下の角から現れたセンセイ。
私はすぐに階段の陰に隠れたけど、センセイはそんなことに気付きもしなくて。
ただ隣を歩いてた他の先生と、なにやら楽しげに話をしながら、笑って歩いていた。
「白鳥先生はこの後どうするんですか」
「あ、僕はもう少し研究室で雑用を片付けてから帰ります」
「あぁ、そうですか」

