センセイ




焼け付くアスファルトの熱を感じながら、青い空をゆっくりと仰ぎ見る。

夏休み中に学校へ来ることに、何の理由をつけようか。そんなことを考えながら、制服を着て歩いた道のり。

課題のために図書室へ?それとも、提出物を教室に忘れたから、それを取りに来たという理由の方が怪しまれないかもしれない。

もちろん本当は、センセイの様子が知りたくて、こっそりあの物理室へと、様子を見に行こうと思ってるだけなんだけど。



…センセイ、大丈夫だったかな



白衣の裾を気にする。

実験用具を、たくさんポケットに詰め込んでる。

センセイ

センセイ



「センセイ…」



ふと風の中に呟いてみれば、やっぱり大きくて消せない気持ちは確実に私の中に存在した。

ドクンドクンと胸が波を寄せて、その姿を想像すれば、喉の奥からは例えようのない何かが溢れようとしてくる。

あんなことを言ってしまったけど、あんな態度をとってしまったけど

私は本当に、センセイが好きで仕方ないんだ。