センセイ




ガタッ



「…すみません、帰ります」

「あ、ちょっと待て」



慌てて立ち上がる私の腕を、センセイは机の向こうから手を伸ばし掴んでくる。

でもその瞬間に、自分の欲深な感情が嫌というほどに込み上げてきた。



ドクン、ドクン

ドクン、ドクン



センセイが好き。

私はセンセイが好き。そんなこと、最初からわかってたんだ。

でも、近づきたいと思ってた感情は、たぶんどこかでズレてたの。

私は自分から近づくより、センセイの方から私に近づいてほしくて。

センセイの方から、私に触れてほしくて。



ずっと、私だけのことを考えててほしかった。

私のことで頭をいっぱいにして、困って、悩んで。

そんな瞳で、私を見てほしかった。