センセイ





「……平山、なんでそんな嘘つくんだよ」



センセイは変わらない瞳を私に向けたまま、静かにそう言った。

さっきまでより、ドクンと強く打つ私の鼓動。



「……っ」



嘘って…、なんで嘘だってわかっちゃうの。

やっぱり私は、ただの真面目でつまらない生徒にしか見えてないから?

センセイにしてみれば、なんの心配をする必要もない、たくさんの生徒の中の一人でしかないから?



変な嘘をついたって、センセイの心の隙間には入れてもらえないのに

こんなに恥ずかしい思いをしてまで、私は何をしたかったんだろう。

本当に、どうしてこんなこと…



焦った私の視線は、机の上を逃げ回った。

何を言ったって、私は普通の生徒。

売春なんてするわけもない、そんな勇気があるわけもない

勉強だけの、優等生だって。