「原田…」
「なんですか?」
木下君いたの忘れてた。
「まだ…達也の事、思い出せねぇの…?」
「あぁ…まぁ、そうですね。」
「…達也、最近辛そう。」
それは俺もわかっていた。
寝不足だと言って彼は保健室へ来る。
話を聞くと、不眠症だと分かった。
不安や、ストレスや、辛いことがある精神的なものだとも分かった。
「心当たり…あんだろ?」
「え…?」
いやいや、俺に言われても。
「お前だよ。」
「…どうゆう意味ですか?」
「最初は達也だって頑張ってた。だけど、お前に会うたびに、辛いんだと思う。だけど、
会いに行っちまうんだよ。アイツは。」
「…?それは…僕が彼の記憶をなくしているからですかね?」
「うん。」
「でも、彼は記憶を取り戻して欲しくないと言ってましたよ?」
「そんなのっ…」
木下君は寝ていた体を起こし、俺を睨みつけて怒鳴った。
「そんなの本心な訳ねぇだろッ!!馬鹿か、お前!」
俺は、ズット相馬君を目で追ってる。
ヤバイ。本気で好きだ。
今日もまた、保健室のベッドでならぐっすり眠れている相馬君。
その綺麗な横顔に、俺は軽くキスをした。
「やばっ…、何やってんだ?俺。」
忘れた思い。
忘れた記憶。
それが、全部君で、俺はお前が好きで、お前は俺を好きでいたらいいのに…。
記憶が戻ったら、君を手にいれられる気がするのは、気のせいなのか?
だけど、君はそんな関係を望んでいないのならば、俺はこのまま気持ちを隠し通そうと思う。