「今、なんの授業ですか?」

「古文。」

「文系苦手なんですか…?」

「んー、苦手…でもないな。ただ、理系の方が得意。」

「理系好きなんですか。」

「…好きではないよ。」

好きじゃないのに得意ってどうゆう意味だ?
勉強しまっくったって事か?

「好きじゃないのに得意なんですか?」

「うん…。」

あれ…。
なんか理由聞いたらマズイ雰囲気…?

コンコン

扉を叩く音がしたと思うと、相馬君の友達の木下君が入ってきた。

「失礼しまーす。」

「おっ、お迎えがきましたよ、相馬君。」

木下君が保健室に来たときは、決まってお迎えということを、俺はもう知っていた。

「いや、今日は迎えじゃねぇんだよ、原田。」

「?体調不良ですか?」

「んー…、寝不足。」

「2人して何してるんですか…」

…2人して。
いや、別に一緒に居たわけじゃねぇよな。
この2人ってノーマルだよな。
いや、でも…
相馬君って彼女居ないし…
いや、告られてんのはいっぱい見てるんだけどね。
でも木下君は彼女いるかも…
わかんない。
木下君の事なんて、相馬君の友達って事くらいしかしらないな…。
相馬君のことなら、わかるのに…。
………なんで?
なんで俺、相馬君の事知ってるんだ?
過去の事は分からないけど、今の事ならほとんど分かる。
なんで?

「原田っ。聞いてる?」

「えっ…」

「聞いてねぇし。」

気がつくと、呆れた顔をした相馬君が目の前にいた。

「す、すみません。なんですか?」

「だからぁ、俺戻るから、順平よろしくっつってんの!」

「あ、はい。」

保健室から相馬君が居なくなるのが、少し寂しい。
そう思うのはなんで?
いや、確かに俺はゲイだけどさ。
相手幼馴染だぞ?生徒だぞ?