オレはその日
初めて声を掛けた。
「どんな写真撮ってるの?良かったら…
見せてくれない?」
カノジョは微笑み
「命あるもの全て…かな」
とカメラを差し出した
象が水浴びをしている瞬間
イルカと調教師
ソフトクリームをほおばる子供
花の蜜を吸う蝶々
一面に広がる向日葵畑
ベンチに寄り添う老夫婦
「あれ?
これも命あるもの?」
何枚もの青空の写真
「これは、ワタシが見た空」
「なるほど!
確かに命あるものだね」
穏やかな時の流れ
マイペースな仕草
眩しい程の笑顔
それを遮る、練習再開の笛
「ありがとう。
また見せてよ!!!」
オレは
ドリブルしながら コートへ走り
キミも
自分だけの世界へ戻った。
