人間のエゴによって捨てられた犬。

今まで君は何をみてきたんだろうか。

何を想って生きてきたのだろうか。

一瞬でも幸せと感じたことがあったのだろうか。

そう考えると涙がでてきた…。

同じ人として申し訳ない気持ちでいっぱいになり

その場から逃げた。


涙をふくことさえ忘れて、家に向かって足を止めることなく走った。

家につくなり、両親に公園に捨て犬がいたことを言うと

「昨日の夜も公園にいたぞ」と父が言った。
昨日の夜からあの公園にいるなんて…。

季節は1月の寒い冬だった。

この寒いなか1日中、外にいたなんて…

お腹だってすいてるはず…

そう考えると自然と言葉がでた。

「うちで飼ってもいい?」

両親は少し驚いた顔をしたが。

「早く連れてきな」

と優しく微笑んでくれた。

その言葉を最後まで聞かずにまた公園まで走った。

足取りは軽かった。

公園につくと、良いのか悪いのか君はまだいた。

でも君がいてくれて嬉しかった。

まるで僕を待ってたかのように君は僕に近付いてきた。

フェンスに繋がれた鎖をはずし家に向かって歩きだした。

君はよく見ると可愛い目をしていた。