「………。仮に大丈夫だとしても、2人のほうが効率いいしさ、ねっ?」

「先輩がそうやって言うなら…良いですけど…」

『仮に』という言葉と、今の間が気になるけど…。

そこは敢えてスルーして、あたしは戸棚からホッチキスを2個取り出し、片方を先輩に渡した。

「それじゃ、やろうか」

「はい」

配分をちょうど半分くらいにし、私達はプリントを綴じこみ始めた。


……。
………。

「ねぇ…まだ終わらないの?」

先輩は既に終わらせていて、教卓の上に足を乗せてブラブラさせている。

ところがあたしといえばまだ半分も終わってない。

「先輩が早過ぎるんです!」

「君が遅すぎるだけだよ?そのうえ汚いし」

「しょ…しょうがないんですー!!」

だって不器用だもん…。

「しょうがないから俺がやってあげるよ♪」

そう言って先輩は、あたしが綴じていないプリントを自分のほうに引き寄せると、せっせと綴じ始めた。

…あたしはどうすれば良いんだろう…。

手伝うべきか任せるべきか。

うーん……。
………………。

「終わった」

「えっ!?」

嘘でしょ!?

そう思う…いや、思いたいけど、目の前にあるものが何よりの証拠で。

きちんと綴じてあり、ピシッと綺麗に重ねてある出来上がった資料が。

「お礼はないの?」

「へっ…あ…ありがとうございます」

「そうじゃなくて……」

「物をくれってこと…ですか?」

「違う」

「えー…何か入ってたかなぁ…」

あたしは制服のポケットをあさる。

「聞いてた?」

「あっ!!飴発見!!」

見つけた飴は苺みるく味。

「聞けって」

「先輩、どうぞ…。こんな物でごめんなさい」

「ハァ……」

「??先輩?…やっぱり飴じゃダメですよね。本当にごめんなさい。こんな物で。いらないですよね…」

「本当、どうしようもないよ」

「やっぱり…いりませんか?」

「いや、せっかくだから貰っとく」

「無理にもらわなくてもいいですよ?」