な…何で?

困惑するあたしの思考。

「危なっかしいから君にはまかせられないよ」

馬鹿にしたような言い方に少しカチンときた。

「先輩っ!!酷いです!それ!」

あたしは反論する。

「事実でしょ?」

「違う違う!絶対違います!」

「ふーん。そう。じゃあ、何もない廊下で転んだのは誰だったっけ?」

「う゛っ…」

グサリとなにかがささる。

「そのうえ…階段から落ちそうになった馬鹿は誰だったっけなぁ?」

「う゛う゛ぅっ」

ていうか…さりげなく馬鹿って言った…馬鹿って…。

これでも入試はトップだったのに…。

ただドジなだけなのに…。

先輩って…なにげに毒舌!?

「だ~れだっけ誰だっけ♪」

何か歌まで作ってるし!!

「俺の近くのお馬鹿ちゃん♪」

むぅう…。

「ばーか馬鹿馬鹿お馬鹿ちゃん♪」

キィイィ!

もう怒ったもん!

「馬鹿じゃない!ただドジなだけです!」

「ほらやっぱり♪」

け…計算済み!?

は…はめられた…。

「ふぇ…」

あれ?視界がまた歪んでる…

「ちょっ…泣くなよ…」

「だっ……て…」

「もー……ほら、行くよ」

そう言って先輩は片手でプリントを持ち、片手であたしの手を引いた。

「ふ……!?」

突然のことで声も出ず。涙も止まる。

あっという間に教室にたどり着いた。

先輩はあたしを引きながらツカツカと教室に入っていき、教卓にプリントを置いた。

そしてそのまま椅子にドカッと座った。

予想外のことにびっくりしすぎて呆然と立ちすくんでしまった。



「どうしたの?綴じるなら早く綴じれば」

先輩のその言葉で我に返る。

「とっ…綴じますよ。綴じますけど…」

「けど?」

「なんで先輩が戻らないんだろうって」

「んっ?あぁ。手伝おうと思って」

「べ…別に1人でも大丈夫ですよ」