【短編】愛するキミへ

俺は、すごく緊張していた。心臓がバクバクしていた。椎夏に聞えてしまうんじゃないかと思うくらい、心臓が高鳴っていた。
「秋夜、話しがあるんでしょ?」
椎夏は言った。
「うん。聞いてほしい」
俺は言った。
「うん」
椎夏は頷いた。
「俺、ずっと不安だったんだ。椎夏が俺から離れてるような気がして。俺だけが好きなんじゃないかって。俺の片思いなんじゃないかって。椎夏は、仕方なく俺と付き合ってるんじゃないかって」
俺は、今まで抱えていた不安を全部話した。
「秋夜・・・・・」
「ごめん。こんなの俺のわがままだよな。椎夏をずっと俺の隣りに置いておくわけにはいかねぇーのに。でも・・・・でも、俺」
そのとき、椎夏が俺の胸に飛び込んできた。
「椎夏?」
俺は突然のことに、何が起きたのか把握できなかった。
「バカ・・・・」
椎夏は言った。俺は気付いた。椎夏が泣いていることに。
「秋夜のバカ・・・・・・遅いよ」
俺を抱きしめる手に力が入っているのが分かった。俺も椎夏を強く抱きしめた。




ずっと、こうやって椎夏を抱きしめたかった。