秦の家には、誰もいなかった。秦の家に来るのは、久しぶりだった。
秦の部屋に向かった。
「座れよ」
秦に言われ、俺は座った。
「なんで、おまえん家なんだ?」
俺は訊いた。
「なんとなく。ここの方が話しやすいと思って」
秦は答えた。
「おまえさ、いつまでこのままでいるつもり」
「はぁ?」
「彼女のことだよ」
秦は言った。
「彼女って・・・・椎夏?」
俺は訊いた。秦は頷いた。
「おまえを見てると、イライラする」
秦は低い声で言った。
「なんだよ、それ」
「好きなんだろ?忘れてねぇーんだろ?」
秦は言った。
「・・・・・・・」
俺は黙った。
「いつまで、そうしてるつもりだよ」
秦は声を張り上げた。
「秋夜、秋夜なら大丈夫だよ。俺が保証する」
秦は言った。
「秦・・・・・・」
俺は言葉が出なかった。




秦、ごめんな




俺のこと、ずっと気にかけてくれてたんだな