【短編】愛するキミへ

家に帰り、そのままベットに倒れ込んだ。すると、携帯が鳴った。
「あぃ」
俺は出た。
「なんだよ、あぃって」
電話の相手は秦だった。
「なんか用?」
俺は訊いた。
「いや、別に用ってわけじゃねぇーんだけど」
秦は言った。
「なんだよ、それ」
「おまえ、最近元気なかったから。気になって。俺でよかったら、話し聞こうかなって思ってさ」
秦は少し照れくさそうに言った。
「心配してくれてたのか?」
「まぁな」
秦は言った。
「ありがとな」
俺は嬉しかった。そして、すべて秦に話した。



まだ、椎夏が好きだということ



別れたことを後悔していること



椎夏と話したいと思っているが、椎夏を目の前にすると声をかけられないこと




秦は黙って聞いてくれた。俺は、いろんな想いを秦に話した。




溢れそうになる涙を必死にこらえながら





「俺、全然椎夏のこと忘れられねぇ。今でも、すっげぇ好きだ」
「その気持ちを伝えればいいんじゃねぇーの?」
秦は言った。
「簡単に言うなよ」
俺は言った。
「まぁ、伝えるか伝えないかは俺が決めることじゃない。おまえが決めることだ」
秦の力強い言葉に、背中を押された。
「ありがとな。おまえに話してよかったよ。俺、頑張ってみる」
俺は決めた。




もう、逃げない