「秋夜、どっか寄って行かない?」
椎夏は言った。
「あぁ」
俺は返事をした。
「見たいものあるんだ。いい?」
「うん。行こ」
椎夏は嬉しそうに頷き、俺の手を握った。俺も握り返した。




強く、握った。




椎夏が、俺から離れないように・・・・



「秋夜、どうしたの?」
椎夏が、心配そうに俺の顔をのぞき込んだ。
「何でもない。行こう」
俺は、椎夏の手を引き歩き出した。椎夏は、一生懸命ついてきていた。



椎夏の買い物が終わり、近くのカフェでケーキでも食べようかという話しになった。
「秋夜、早く」
椎夏は言った。
「そんなに急がなくてもいいだろう。そんなに、急いでたら転ぶぞ」
「秋夜のバカ」
椎夏のそうゆう所が好きだった。
子供みたいに、はしゃぐ椎夏が大好きだった。





そんな俺の幸せを、打ち砕いた奴等がいた。
「あれ?椎夏じゃねぇ」
俺と椎夏は、声がした方を振り返った。
そこには、三人の男がいた。この男たちは、よく椎夏が話している男。
「あんたたち、こんな所で何してんの?しかも、男三人で」
椎夏は言った。
「彼女いねぇから、男同士で遊んでんの」
いかにもチャラそうな男が言った。
「暇だねぇ」
椎夏は言った。俺は、隣りで椎夏が楽しそうに話しているのを、ただ聞いていた。




椎夏は、まるで俺がいないかのように話している。




その瞬間、俺は思った


このチャラ男は、椎夏が好きだ。





見ていれば、分かる。




腹が立ってきた。