「柚希ちゃん帰ろうよ」 まだ諦めてないのか笹山くんは尚も私を追いかける。 「笹山くん、もう、 一緒には帰れないんだってばー!」 「佑なら別に気にすることないよ、大丈夫大丈夫」 能天気に笹山くんは話して、私の腕を掴んで玄関に向かうように歩きだす。 「大丈夫じゃないー」 「大丈夫ー」 「じゃない」 突然私たちの中に割り込んで、そう告げる声に聞き覚えがある。 私の大好きな声。 「俺が、大丈夫じゃないから離して」 佑は笹山くんの手を見てそう告げた。 「はぁ、」 笹山くんは軽くため息をついた。