体操服に着替えて体育館までやってくる。


「今日体育、合同だっけ?」


「知らないよ。」


「でも、王子いるし。」


「げ、晃……。」


晃は王子スマイルで女の子達と楽しそうに話していた。



この日の合同体育は先生の都合で急に決まったらしい。


よりによって晃のクラスと。


今日の体育はバレーボール。

トスなど基本的な練習をした後、チームに分かれて試合をする。





ダンッと勢い良くボールが床に落ちる音。

「キャ~!晃君カッコイイ!!」


大きな声で何人もの女子生徒がそう叫ぶ。


「やっぱり王子ってかっこいいよね。」


隣に座っていた由紀ちゃんまでそんなことを言い出した。


「ゆきちゃん!騙されちゃダメだよ。本当の晃は「さくら!次あたし達の番だよ。」」


私の言葉は由紀ちゃんによって遮られてしまった。


まぁ、“本当の晃は意地悪だ”ってて何回由紀ちゃんに言っても、信じてもらえないから意味ないんだけどね。