―――学校―――


「家出てくるの早かったからかな?誰も来てないね。」


「あぁ。」


「ほら晃、鞄。」


私達はクラスが違うから教室の前で晃に鞄を返す。


はぁ。なんで私がこんなことしなきゃいけないかなぁ?

せめて“ありがとう”とかお礼はないわけ?


なんて思っていたら…………


「さくら。鞄持ってもらったし、お前にご褒美やるよ。」


「え?」


こころ読まれた?そんなわけないよね。

でもご褒美?珍しいこともあるんだなぁ。

この男なら“俺の鞄をわざわざ持たせてやったんだ。感謝しろ!”とか言いそうなのに。


「ご褒美って何?」


顔を上げて晃を見た瞬間、唇に暖かいものが触れた。


「ご褒美のキス♪」


唇をすぐに離して怪しい笑みを浮かべながら晃は言った。










「―――……え?」


気づいたときには晃の姿はなくなっていた。