「妄想」


「あっ、あーっ
静かにしなさい。」

スピーカーからは、単調で非常に落ち着いた低い低音の男の声が聞こえた。
男は、生徒のざわめきを分かっているかのように注意をしたのだ。

その男の声で、私のクラスは静まりかえった。

「皆さんに今から大事なお知らせをします。
今から、この学校を占領します。
いわゆるハイジャックです。」

はっ?

私の心の中には、この文字しかなかった。
ハイジャック?
よく、刑事ドラマでやっているテロ活動みたいなものなのか?

放送の言葉を聞き、また教室内が騒がしくなった。
当たり前だ、こんなこと実際にあるはずない。
非現実的すぎる。

「静かにしろ!」

今度は、先程の単調な注意とは逆に怒りに任せた怒鳴り口調で静かにさせた。

さすがに、怒鳴り声に驚き静かになった。
それを確認したのか、軽く咳払いをしまた放送を続けた。