『雅樹…私ね…東京に行くんだ…』
『っえ?…なんで?』
もっていた缶コーヒーが手を離れ地面に広がる
『でも…でもね。離れててもずっと、ずっ〜と雅樹のこと大好きだから…』
『わかった…頑張って来いよ…』
俺がまだ高校になる前、初めての彼女だった胡桃(くるみ)が芸能界を目指して東京に行くことになった。
『出発は…?』
『明日』
『はや…そんなに急ぐことないんじゃ…』
『ううん。ここにいたら雅樹と離れるのが嫌になっちゃうから…だから明日。』
明日。って言ったときの胡桃の目は真剣で力強かったことを今でも覚えてる

