「!!」


私は叩かれるはずだった頬を右手で押さえながら花村先生を見た。

牧野先生に腕を掴まれた花村先生の目からボロボロと流れる涙が胸を強く打った。


「教室に行きなさい。朝礼が始まる」

牧野先生に言われて私は黙って生徒指導室を逃げ出した。


花村先生に対しての辛すぎる想いで胸が苦しくなった。


だから、


だから、


早く佐藤先生の顔を見たくてたまらなかった。


教室まで向かう廊下には朝礼を前に席についている時間で生徒はいなくて誰にも会わずに走ってこれた。


泣かずにいるのは弱気になりたくなかったから。


負けたくない。


負けたくないよ……