しつこく降り続いた雪もやみ、やっと春らしくなってきた。

今日は日曜日だというのに、零は誰よりも早く起きた。

足早に朝食をすませると、高校の制服に着替え、外にでて行った。

「快速MAXとき320号新潟行きは3番線です。お乗り間違えのないようにご注意ください〜」

東京駅に新幹線の乗車アナウンスが響く。

始発もまだの東京駅。東京駅とはいえ、朝は静かだ。
一人の少年が、駅のホームのベンチに座り新幹線を待っていた。

少年は内心、「新幹線なんか来なければいいと思っている」

何故ならば、このまま新潟に行ってしまえば、現実を受けなければならないからだ。

零は、長いお墓へとつながる石段を上っていた。

一段また一段と上がるたびに、なんど引きかえそうとしたことだろう。

長い石段を登り終えると、喪服姿の人達が悲しみにくれていた。

零はその人混みの中をかき分け、先頭に立った。

「あら、深井君?」

希望の母が、零に築いたのか話しかけてきた。

「あ…どうも、こんにちわ」
零は言葉がでてこなかった。

希望がこの世を去って、49日。

零自身、あれは悪い夢だったと自分に言い聞かせ、