その日も雨だった、三月の新潟の空は曇よりとした雲におおわれ、外は大粒の雨が地面に降り注ぐ。

放課後の廊下響く足音、独りの少年が歩く。

「あ!レイ〜一緒に帰ろ」

少女が駆け寄ってきた。少年はビック!!として振り向く、かなり神経質らしい…            
 彼女の名は北条希望、少年の名は深井零二人は幼馴染みである。        
外へ出ると、思った以上に外は寒く吐く息が白い。

その日も二人は一緒に帰った、いつもどうり一方的に希望が喋っていた。

交差点まで来た時だった、急に希望は足を止め立ち止まった。

「ねぇ」

「どうした?」

零はゆっくりと振り返った。

先程とは違って重い空気が流れる。

「カズ覚えている?」

零は手にしていた傘を落とした。

「覚えている」

零は小さく呟いた。

「カズ去年全日本銃剣道錬成大会で優勝したんだって」            
零は顔を下に向けた。

「知ってる」

沈黙と言う間が二人を別の空間へと誘う。

どれ程の時が過ぎただろうか、零は交差点の信号が点滅しだしたのを見てゆっくりと傘を取った。

そして静かに歩き出し交差点を渡りきった。

「レイ悔しくないの?」

希望は小さく呟いた。