その人は優しく、私に向かって言いました。 「かわいそうに、何か怖い思いをしたんですね」 ああ、判ってくれる人がいる。 そうなの、ほんとは怖かったの。 怖かったけど、 誰も気付いてくれなかったの。 そんな言葉が頭を駆けめぐり、 そのまま私は、半ば気を失いながら、その人の腕の中に抱かれていました。