そして、あの日から
神崎先輩は下屋敷先輩と一緒に登校していた。
相変わらず仲良さそうに、肩を並べて歩いている。
…本当にお似合い。
クラスの子たちは、ちゃんと本命がいるみたいで
先輩は“憧れ”とか“目の保養”的な存在なんだ、と美央が言っていた。
……そうだよ。
あたしも、先輩は“憧れ”なんだもん。
ドキドキするのも、キュンキュンするのも
きっとそれが原因。
早く、いい人を見つけなきゃ。
そんなことを考えて
1日が始まった。
カバンの中には、折れたり曲がったりしないように入れた
淡い黄緑色の文庫本が、真っ直ぐ入っていた。
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