あたしの言葉を遮って、先輩の顔が近づいてきた。
……!!!
「やっ…!!」
咄嗟に顔を反らしていた。
下屋敷先輩とキスした唇で…なんて、イヤだよ。
「もぅ…先輩のこと、忘れたい。
さっき見たキスシーンも全部全部…っ!!」
そう言った瞬間、バッと離された。
眼鏡の奥の瞳が悲しそうに揺れる。
なんで先輩がそんな顔をするの?
悲しいのはあたしでしょ?
「………清嘉…」
「ぇ…」
「言い訳だけど、聞いてほしい。」
初めて、呼び捨てされた。
……今さら…そんな…
そうは思ったものの、あまりに必死な先輩に頷くしかなかった。
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