「……先輩…?」


「ごめんね、いきなり。清嘉ちゃんが可愛くて…」



もう一度、軽く触れて

先輩の顔は離れていった。



もう暗くなってきたから…誰かに見られるようなことはないだろうけど…




「先輩…キスがお好きなんですか?」



家の前まできたとき、聞いてみた。

あたしの質問にフッと笑って眼鏡をクイッと上げる先輩。




「うん。好き。」


「……………////」



あまりに笑顔で言われたから、こっちが恥ずかしくなってきた。


……好きなんだ…



いや、別に

あたしも先輩のキスは好きだけど…



真っ赤になって固まるあたしに、声を上げて笑った先輩は

ポンッと頭を撫でてから、手を振って帰っていった。




…こんな場面を誰かに見られているなんて、考えなかった。




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