先輩は「よかった。」と甘く囁いて、細道を進んでいった。
時折流れてくる心地よい風と、温かい先輩の背中にうとうとしてしまう。
もうすぐ家に着いてしまう。
最初は恥ずかしかったおんぶも、なんだか落ち着いてしまう。
いゃ、落ち着くというか……
先輩を独り占め出来てるみたいで嬉しいの。
「ぁ、先輩…ここです。」
「ここ?思ったより早かったね。…あれ、俺だけ?」
ふざけたようにそう言って、玄関の前に優しく下ろしてくれた。
あたしも、すごく早く感じました。
そう言おうとしたのに、先輩は手を伸ばしてあたしの頭を撫でた。
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