ドキドキしながら返事を待つ。
「……本当の彼女…ねぇ。」
ボソッと呟く先輩に、ドクリと心臓が跳ねた。
まさか……先輩は…
「…好きなんですか?」
「え?」
やっぱり、あたしはおかしくなっているみたい。
先輩の優しい瞳に、魔法をかけられたのかも…なんて。
「下屋敷先輩のこと、やっぱり好きなんですか?」
車がよく通る道から外れた、静かな細道。
立ち止まった先輩と視線がぶつかる。
ドクドクと鳴り響く鼓動を止める術を、あたしは知らない。
固まったままあたしを見つめる先輩に、何も言えなかった。
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