彼氏であって、彼氏じゃない
一見、簡単そうだけど、すごく難しい。
どういうこと?
あたしが聞く前に、先輩が話してくれた。
下屋敷先輩が、何者かにストーカーされていること。
それがどうやらこの学校にいるということ。
そして、彼氏のいない下屋敷先輩から、彼氏のフリをしてほしいと頼まれたこと。
下屋敷先輩は、幼なじみで家も近い神崎先輩に守ってほしかったらしい。
さまざまなことを丁寧に分かりやすく説明してくれた。
「ね?だから、俺は晶奈の彼氏であって彼氏じゃないんだ。」
「……はぁ…」
また歩き出した先輩に、小さく息を吐いた。
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