結局、おんぶしてもらって学校を出た。
もう部活の人もいなくなってて安心…
さすがにおんぶされてるところを見られたらマズいもんね。
それこそ、こんな足を捻挫するどころじゃない。
「……ねぇ、中川さん…」
「っは、はい!!」
あたしが拒否してから、ずっと
“中川さん”のままだ。
先輩は振り返らずに喋り始めた。
「…何が、あったの?」
「ぇ…?」
何が…って?
首を傾げていると
「足、捻挫したんでしょ?
何があったのかなって。」
質問みたいな聞き方だけど、先輩は何があったかわかってるみたい。
ちょっとだけ固く感じる声に、恐る恐る答えた。
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