走り始めて、何分経ったかわからないけど
教室に戻るまでに涙は止まっていた。
……絶対、目赤いよ。
ごしごし擦ったからかヒリヒリする…
「……あれ。」
控えの教室に入ると、美央が一人で座っていた。
美央?
「ぁ、きたきた。ったく…何泣いてんのよ?」
「美央、なんで?小田島くんは…デートは?」
あたしが聞くと、美央は立ち上がってニコッと笑った。
「電話がきたの。アンタが泣いてるから…って。
心配でデートどころじゃないわよ。」
はぁ とため息をついて言い捨てた美央だけど、その瞳はとても優しくて温かい。
……美央…
ホントにホントに…ありがとう。
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