答えようにも、声が出ない。
先輩に抱き締められたら、誰だってこうなるよ。
きゃーきゃー言うことすら出来なくなる。
まるで、石になる魔法をかけられたみたいに。
「…先輩……み、見てたんですか?」
咄嗟に出た言葉。
ひ、否定しとけばよかったかな!?
すると先輩はあたしを抱き締めたまま、コクンと頷いた。
顎が頭に当たったぁあっ!!///
「うん。ドア開けたら抱き合っててびっくりしたよ。
…向こうは気付いてたみたいだけど。」
「え…」
「目が合って睨まれたから」と付け足す先輩。
暢気に笑ってるけど……
瀬那くん、気付いてたの!?
.

