あたしは弱虫だから 鋭い視線に耐えられなかった。 睨み返すことも出来なかったの。 「……あたしが…」 あたしが 先輩に こんな 風に 近づいたら ダメ。 ダメ。 ダメ、なのに。 「……中川さん…」 「っ…」 スッと伸びてきた華奢で、ちょっと角張った手のひら。 流れるように、華麗に あたしの頭の上を滑る。 「そんなに泣きそうな顔しないで…?イヤなことがあったら、誰だって逃げたくなるんだ。 自分を追い込むのは…よくないよ?」 .