文化祭真っ只中の保健室は、静かで先生すらいなかった。
あたしは空いているベッドに倒れ込む。
先輩
先輩
神崎先輩。
「…渡せないよ……」
調理室で、あんなに怖い顔で睨まれたんだもん。
生半可な気持ちじゃなくて、本気で神崎先輩が好きなんだよ…?
きっと、ずっと前から好きなんだよ?
それを、最近先輩を知ったばかりのあたしが壊すなんてダメだ。
きっとあたしには、壊すことすら出来ないよ。
「先輩……」
呟いたから、先輩に届くわけじゃないけど
何か言っていないと、心が潰れてしまいそうだった。
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