金魚すくいの屋台には、小さな子供がたくさんいた。 みんな、なかなか取れないみたい。 「中川さんもやる?」 「は、はい。」 おじさんに300円を渡して、ポイをもらう。 先輩もやるんだ。 「先輩が金魚すくいなんて意外です。」 「そうかな?…見てて?」 先輩はそう言うと、浴衣の袖を捲ってポイを握った。 そして、流れるような動きでどんどん金魚をすくっていく。 おじさんも周りの子供たちも、口を開けて先輩を見てる。 ………すごい。 カッコいい。 先輩は、子供まで虜にしてしまうんだ… .