後ろから、心拍数の上がる声がした。 「声くらいかけてくれればいいのに。寂しいじゃん?」 「ぁっ、あの…!!」 振り返ると、先輩はあたしじゃなくて善樹を見ていた。 ……? 知り合い、とか?? 今日の先輩、眼鏡が黒縁だ。 髪の毛…切ったのかな? ちょっとだけ短いかも。 って…何見てんだあたし。 変態か。 「先輩…下屋敷先輩といたんで。声なんてかけられませんよ。 目が合ったのも……気のせいじゃないですか?」 素直じゃない、可愛くないあたしは 先輩に向かってそんなことを言ってしまうんだ。 .