ミリアの部屋は甘い香りで充満していた。
いつも以上に。
ミリアは、ベッドの中に包まって寝ていた。
その目の回りは赤く腫れている。
「・・・・」
俺はいつもミリアを泣かせる。
このいつも以上の甘い香りは、ミリアの涙。
ドレスも着たまま、泣きつかれて寝たのだろう。
ディクスは、ミリアの部屋を出た。
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
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「この花は成長が早いわ」
植木鉢に入った植物を眺めながらミリアは言った。
植えてから一週間でもう紅い蕾をつけている。
マリ−は起きたはいいが猫のまま。
ディクスもこない。
ミリアは寂しさを紛らわすために植物を大切に育てた。


