近づいてくるにつれて、カレンはその人から目が離せなくなった。
それがディクスだった。
「・・・お前、甘い香りが微かにする」
ディクスは突然カレンに言った。
甘い香り・・・・?
「成りそこないか・・・?」
まだ特別な人間は生まれない。
たまに、特別な人間の成りそこないが生まれるのだ。
血は微かに甘く、かすり傷を治せる程度だが、ディクスは強くなるために成りそこないでも欲しかった。
「名は?」
「カレン・・・」
カレンはディクスに見とれながら名前を言った。
ディクスは薄く笑う。
「また来る、カレン」
そう言うとディクスは消えた。


