「てか、大樹。
夏の大会ってベンチ入りした?」
思い出したようにみゅーが言う。
「まだ背番号は配られてねぇんだ。
でも、きっとベンチには入ってると思うぜ」
自信満々というように胸を張る。
「レギュラーは?」
「無理っ!」
即答して豪快に笑う大樹に
私とみゅーは同時にため息をついた。
「まぁ、大樹は足だけだもんね」
みゅーがボソッと呟く。
「…おい、それ、結構傷ついたぜ?」
傷ついたように顔をしかめる大樹に
追い討ちをかけるように
みゅーは言う。
「だって本当じゃん。
バッティングは
簡単なストレートを空振りするし
いい当たりでもショートゴロ。
守備でも
すぐトンネルするし
フライをまともに取れないし。
ベンチ入りだけでも奇跡に近いわよ」
みゅーは結構ずばずば言うタイプだ。
そして元野球部のマネさんだ。
「言っとくけどなぁ
お前がいた頃よりずっとうまくなってるぜ?
トンネルしなくなったし
バッティングも外野まで飛ぶようになったし」
「それが普通」
ズバッと言いわれ
大樹は肩を落とした。


