目が覚めてカーテンを開けたら、あの子の部屋の窓が見えた。
もう10時すぎだから、あの子も起きてるよね。
俺はいつものように部屋のゴミをまとめてゴミ出しにマンションを出ようとした。
「修二?」
ベッドから女の声がした。
「お前も早く準備してかえれば」
女の子の友達や知り合いは多い。俺も男だから、酒でも入れば女を抱くこともある。
だけど俺が本当に抱き締めてあげたいのは
クラブで踊る今時の女の子や女子大のお嬢様や歳上でナースやってたりするお姉さん なんかじゃないんだ。
マンションのエレベーターを降りると眩しい日差しが差した。
向かいのマンションも
ゴミ捨て場所は同じ。
遠くから スウェットを着たあの子が両手にゴミ袋をもってゆっくり歩いてきた。
そして無造作にゴミ箱をほおりなげ、俺に会釈するとくるっと向き治して返っていった。
俺は挨拶もできない。呆然と彼女の後ろ姿を見つめた。
そして自分のゴミ袋を捨て
いつものように
あの子のゴミ袋を持ち帰った。
部屋に戻ると
もう女はいなかった。
コーヒーを入れながら
持ってきたゴミ袋をみつめる。
これで何回目だろうか。
コーヒーをすすりながら
手早くゴミ袋を開ける。
中にはやっぱり手紙が束になって捨ててあった。封筒からエアメールだとすぐにわかる。
なんの抵抗もなく封を
開ける。
いつものように
短く簡単な文章。
あの子の文字。